あなたとアートをつなぐ、名古屋の画廊 松徳

【おわりに】 「藤田嗣治の足跡を追う旅」を振り返って

2014/08/22

藤田嗣治の足跡を追う、と題したこの旅行では、

フランスでの滞在期間がわずか4日間であったためとても慌ただしいスケジュールになってしまいましたが、藤田氏の作品鑑賞や縁の地での見聞という当初の目的はほぼ果たすことができたので

非常に充実したものとなりました。

 

特に、最終日に訪れた ヴィリエ=ル=バクル の 《メゾン=アトリエ・フジタ》 にて、

藤田氏自作の生活用品やオブジェが多いところから、

「自ら創る」事に強い喜びを感じる根っからの「芸術家」だったのだろうと氏の人柄が窺えます。

 

そうして各地を訪れる中で改めて藤田氏の偉大さを感じさせられるとともに、

各美術館などで展示されている作品に力強く大胆な大作がとても多い事に驚かされました。

 

当画廊では藤田氏が晩年を共にした君代夫人へ遺した 『君代コレクション』 と呼ばれる作品群を扱っており、主に猫や少女などをモチーフとした小作品が大半を占めています。
おそらく、時代の流れによって激動の半生を過ごした藤田氏が、世間の喧騒を離れて静かに晩年を過ごす中で様々なしがらみや政治的衝突など所謂「大人の事情」を嫌い穏やかな平和を願う気持ちを、自ら描く子供達に託していたのではないでしょうか。
なので、当初は我々が扱っているような作品を観たいと思っていましたが、パリやランスの美術館が所蔵する作品は藤田氏が 『エコール・ド・パリの寵児』 ともてはやされた若い頃に描かれたものが多く、私達が見慣れたものとは全く違う一面を観る事ができ、より深く藤田作品について知りたいと思うようになりました。

 

パリを中心とし、国際的に大変評価が高い 【レオナール・フジタ】 ですが、日本では特に終戦後において海外ほどの評価がされずにいました。
ですが、2011年(平成23年)に君代夫人が所蔵していた藤田嗣治の日記や写真など数多くの資料が東京藝術大学に寄贈され、同大学にて調査・分析が進められており、近年は国内各地でも展覧会が開かれるなど、日本において 【藤田嗣治】 への注目度が高まりつつあります。

 

この流れの中で、日本での藤田氏のパトロンであった秋田の名士である平野政吉氏からの依頼で藤田氏が制作した『秋田の行事』という巨大壁画が秋田県立美術館にあり、他にも藤田作品を多数所有しているのを知り、藤田氏が日本で描いた作品、特に大作とあれば是非観に行きたいと思い、今年の夏休みは秋田にて藤田の足跡を辿っていきたいと思っています。

 

( 語り手・松橋惠子/編著・山内奈良/レイアウトデザイン・大矢まほ )