あなたとアートをつなぐ、名古屋の画廊 松徳

【2014.8.8】 藤田嗣治の足跡を追う旅~秋田編~ 秋田県立美術館にて

2014/09/24

秋田まで車での旅路、しかもお天気は生憎の小雨でしたが、

まだお盆前ということもあってか大きな渋滞にはまることなく

予定の時間通り目的地へ到着しました。

 

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【生憎の空模様ですが・・・秋田に到着】

 

車を降りて美術館へ向かうと、ちょうど草間彌生の巡回展が開催されている事を知り、

これは良いタイミングで来る事ができたと嬉しくなりました。

 

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【 左:秋田県立美術館エントランス  中・右:草間彌生の作品 】

 

 

まずは目的の大作を観ようと2階へ上がり大壁画ギャラリーへ足を踏み入れると、

正面に鎮座する 「秋田の行事」 が視界いっぱいに広がりました。

 

縦365㎝×横2,050㎝

 

という、数字を見聞きしただけでは容易に想像もできなかった大作を、

藤田嗣治はたったの15日間で描き上げたと知り驚きは増すばかりです。

ですが、ただ大きいというだけでなく、

そこには制作当時(昭和12年)の秋田の産業や年中行事、祭、など

人々がいかに暮らしていたか、

さらには秋田の歴史についてまでと様々なモチーフを取り上げ、

細やかな筆致と豊かな色使いで壮大に描き、

 

「この一枚で秋田の全てがわかる」

 

と言っても過言ではないくらいです。

むしろ、それこそが藤田嗣治の真に意図したところであり、

秋田の歴史や風俗をより深く知るために約半年をかけて頻繁に秋田の地を訪れては

構想を練っていたのだそうです。

 

待ち焦がれていた大作との対面を果たし、

改めて左右を見渡すとギャラリー出入り口の

 

右手には「眠れる女」、

左手には「五人女」

 

が展示されていました。

どちらも藤田氏の四番目の妻であるマドレーヌをモデルにしていますが、

「眠れる女」は横たわる裸体を藤田氏の真骨頂である「乳白色の肌」で

たおやかに描いています。

背景の黒と柔らかな乳白色の対比による女性の肌の美しさは、

パリ市立近代美術館で観た「寝室の裸婦キキ」を彷彿とさせ、再び強い感動を覚えました。

また、こちらの作品の方が後に描かれていることもあってか、

肌の透明感が増しているように感じました。

この作品に限らず、裸体の体のラインはほぼ一筆書きで描かれており、

見事な線描によって柔らかな女性の曲線美を強調しています。

 

左手に飾られていた「五人女」も着衣の女性が二人と裸婦が三人描かれていますが、

すべてモデルはマドレーヌであり、他にも彼女がモデルである作品が数点展示されていました。

共に過ごした時間が短かったにも関わらず彼女をモデルにした作品が多いのに驚き、

それだけ深く愛していた証なのだろうかと思いました。

 

大壁画ギャラリーを出て3階へ上がると、所蔵品を用いた企画展

 

「藤田嗣治 絵画と言葉 ~『随筆集 地を泳ぐ』の世界~ 」

 

と題して藤田氏の作品が展示されていました。

こちらでは1931年(昭和8年)にブラジルへと赴いて以降

中南米や中国、沖縄などを訪れた際に描いた作品が、

1933年~41年までの間に藤田氏が執筆したエッセイとともにまとめた随筆集

「地を泳ぐ」の内容に沿って展示され、

文章と絵画との繋がりを楽しめる内容となっていました。

これまで藤田作品に中南米や中国などで描かれた作品を直接観る機会が無かったため、

新しい発見ができたと共に、

南米へ渡る以前には見られなかった濃い赤や深緑、ターコイズブルーなど

鮮やかな色彩を用いた作風へと変化していった様子を見ることができました。

 

 

この変化によって、大壁画ギャラリーで見た「秋田の行事」や「五人女」など日本での制作品に

見られる大胆かつ明確な色使いを生み出したのだと非常に興味深く観ることができました。

 

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【美術館内からみた風景】
※藤田嗣治の世界をお見せできればと思いますが、館内撮影禁止の為ご了承下さいませ。

( 語り手・松橋惠子/編著・山内奈良/レイアウトデザイン・大矢まほ )