栗原幸彦は、1951年(昭和26年)に静岡県浜松市北寺島町(現・浜松市中区北寺島町)で生まれた日本画家である。静岡県立浜松工業高校デザイン科卒業を経て多摩美術大学へ入学、同大学日本画科を卒業。松尾敏男に師事。
1980年(昭和55年)に第2回中日展にて「幽寂」が大賞を受賞し、1984年(昭和59年)には第39回春の院展にて「初夏」が初入選する。以降、主に百貨店での個展と院展での作品発表を活動の中心とし、山種美術館賞展や東京セントラル美術館日本画大賞展への複数回に渡る招待出品、1986年(昭和61年)の再興第71回院展にて「碧」が初入選するなどその実力が認められ、1988年(昭和63年)には日本芸術院院友に推挙されるが現在は無所属である。
花鳥画や四季折々の風景画を描くことが多く、浜松市北区滝沢町の自然豊かな地に自宅兼アトリエを構え自らモチーフとなる鳥や動物たちを飼育、花樹を育成している。このように実際にモチーフとなる対象を常に身近に感じながら緻密な観察眼によって描かれる作品は、繊細な筆遣いにより高い写実性を持ちながらも柔らかく落ち着いた色彩で表現された濃淡によって花鳥の愛らしさや美しさを大袈裟にすることなく、しかし最大限の魅力を引き出したものばかりである。作品の形態も屏風のような大作からカレンダー原画など幅広く手がけており、それぞれ個展も開催している。
浜松出身かつ現在の居住地も浜松であるため浜松及び静岡県内を中心に活動しており、1985年(昭和60年)には「浜松わたしのイメージ展」に「朗」を出品(大賞を受賞)、2000年(平成12年)に静岡文化奨励賞受賞、翌年には浜松ゆかりの芸術家顕彰を受ける。また、東日本大震災復興チャリティーオークションや震災遺児支援チャリティーオークションに参加するなど社会貢献活動も積極的に取り組むなど、現代日本画界の中堅画家を代表する一人である。
なお、浜松を中心に活動している吹きガラス作家の栗原瑠璃華は長女にあたる。